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STANLEY

Author:STANLEY
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アルバニアの女

「どこから来たんだい?」
年明けに理髪店に行くと、訛りのきつい英語で担当の女にそう尋ねられた。
「日本だよ」
「随分遠いとこから来たのね」
「あなたは?」
「アルバニアさ」
女はおそらく60代後半。不機嫌そうな表情のまま、黙々と私の髪を切り始める。

「全く寒いね」私は会話を続ける。
「今日はまだいいほうさ、来週はずっとマイナス20度っていうからね。」
マイナス20度。呼吸をするにも苦労する、あの寒さ。まったく憂鬱だ。

「仕事に来るのも大変だろうね」
「旦那に車で送ってもらうさ」
「いいご主人だね」
「あたりまえさ!」
女は不機嫌そうに声をあげる。そうして象みたいに目を細めて、胡散臭そうに私を見る。
「結婚はしているのかい?」
「いや、」
「ガールフレンドは?」
「今はいないな」
しばらくの沈黙。そしてため息。
「なんだってこんな国へ・・・・自分の国で、仕事を見つけて、結婚して、子どもを作って、そうすりゃよかったのに」
それができれば楽だったさ、と私は考える。でもそれが私にはできなかった。
「若かったからね。冒険がしたかったのさ。」
できるだけ正直に、そして無垢を装って私はそう答えた。すると女は、苦笑いを浮かべ、孫でも見るかのように私の顔を見た。女はもう一度ため息をつき、一言。「まあ、好きにするんだね」

 好きに生きてきたし、これからもそうするつもりだ。しかし、うまくいかないこともある。
 2014年を振り返ると、慢性的な憂鬱の年であったと思う。たしかに、仕事を変ったりと若干の変化はあったのだが、これといった大事件も悲劇も何もなかった。慣れない仕事に追われ、2014年の後半は嵐のように過ぎ去り、虚脱感と無力感だけが残った。旅行にも行かず、冒険もない。退屈な一年だった。
 到底達成できそうにない目標を掲げるのはやめるにしても、2015年には少なくとも旅行には行きたい。私にはやはり、それが必要だ。私の身体に絶えずまとわりついている粘着質なしがらみから逃れ、時には自由な空気を吸ったほうがよい。そして、生きる喜びをもう少し味わわなければいけない。
 ツァラツストラもロカンタンも、私には必要ない。私に必要なのは、ちょとばかりの冒険と友情と信仰。ただそれだけだ。これまでに経験した様々な苦悩や憂鬱も、絶望さえせず、虚無の淵に沈むような事さえなければ、いつかは私を成長させる糧となるはずだ。そして好む好まないに関わらず、年月は無情に過ぎていく。

「何年もたって思い返してみて、ある連中の言った言葉をもう一度とらえ直してみたい気持ちにさそわれることがよくあるものだ、さらに連中自身をつかまえて何を言いたかったのか尋ねてみたい気持ちに・・・・だが連中は影も形もない!・・・・僕らには彼らを理解するだけの教養がなかったのだ・・・」
ルイ=フェルディナン・セリーヌ -『夜の果てへの旅』より-

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