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STANLEY

Author:STANLEY
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告白

 私が孤独だ、と言うと人々は決まって鼻で笑った。なんだ、やっぱりそうなのか、と。寂しいのだな、と。照れたように、そして少し安心したように、にっこり笑う。そして、こう話をつづける。いいんだよ、君だけじゃあない、君くらいの年の頃は誰だって、もしかすると一生自分はこのまま一人なんじゃないか、結婚もできないんじゃないかと、不安になるものさ。でも大丈夫、いい人はいずれ現れるさ、なんならいい人を紹介しようか、と。
 また、ある人はこう言う。まだ君は若いじゃないか、と。私が結婚したのは30台半ばだった、まだまだ君は若いよ、と。殆ど悲鳴に近い叫び声を上げた後、独身生活を楽しむ秘訣なるものを語り始める。そうして、やっぱり最後には彼もにこりと笑う。私も、無理してお世辞を言う子供のように奇妙に顔を歪め、笑顔を取り繕う。
 「孤独」という言葉が、人々の脳内で勝手に肥大し、ありもしない虚像を作り上げていく。同じ言語を話しているはずなのに、全く話が通じない。この恐怖、驚愕を本当の孤独という。価値観が根本から異なる人間同士で会話する場合、どちらか一方が偽って他方に合わせるか、もしくは戦争をするかの二者択一となる。もちろんたいていの人間は、戦争など望まず、私もまた同様である。かといって、嘘をつく気もない。すると私に許されるのは、もはや新聞の切り抜きのような会話しかなくなる。「今日は晴れていますね」とか「風が強いですね」とか、そういった類の会話である。誰しもが同調するはずの、一般的な事実である。

 理解されようと努力する点で、私はいたって怠惰だった。というのも、本当のことを言えば他人を傷つけるのではないか、狂人扱いされるのではないかと、恐れたためである。注意深く話題を選び、特定の話題を避けた。最近深夜になると、私の枕元に山羊が訪れる。気が違ったなどと、思わないでほしい。私はあくまで正常である。しかしそれだけでない、昼間に外を歩いていると赤茶色の奇妙な犬があとを憑けて来るし、ありもしない電話が引っ切り無しに鳴り続ける。当然、他人を傷つけないためにもこんな話は一切しない。すると自然に口数も少なくなる。そしてたまに嘘もつく。こうして私の心は徐々に壊死していった。
 ごく幼いときから、私には何と答えれば周りが感心するか、喜ぶかを良く心得ていた。「純真さ」と「目立たない賢さ」である。単に無垢であるだけでは見下されるだけで、賢さをひけらかせば反感を買う。しかし、この二つが両立する際、人々は私をよく褒めた。たとえば、である。「将来の夢は?」と聞かれた場合、「宇宙飛行士」と答えるのは簡単だが、それだけではいけない。具体的にどの学問が宇宙飛行士なるために必須なのか、答えなくてはいけない。間違っても「宇宙飛行士になって、誰々さんのようになりたいです」などと答えてはいけないのだ。もちろん、これは6歳の子供の会話であって、20代の青年にそのまま当てはまるわけではない。しかし、原則は同じである。

 長いこと、私は自分は他人と根本的にどこか違うのだという感覚に悩まされてきた。自分のありのままを理解されようとは、全く思わなかったし、期待もしなかったが、他人と同じようにならねばならぬという一種の脅迫観念に取り憑かれていた。それで、好きでもないことも、随分率先してやった。他人にならねばならぬ、と信じていた。
 それでも、どうしても関心を持てないことがあり、やがて、それが自分の周りの人間の人生の根幹を成している事に気づいた。それが結婚と子供である。これは非難されるべき話ではないと思う。永遠のロマンスなど嘘の骨頂であり、多少大人になれば誰でも知ってることである。夫婦愛は永遠ではない。そうであれば、誰も再婚などしないのである。多くの人を結婚に揺り動かすのは、ロマンスではなく、社会的な目である。

 それにしても、と私は考える。どうしてこれほど私は異なるのだろう。休日に友人とパーティを開き、よい仕事を見つけ、女性と恋に落ち、結婚し、子供をつくる。これだけの事に、あらゆる人が燃やす執念を私は理解できない。しかし、もしかすると、とまた私は考える。私の後ろを憑けて来る犬。見えているんだろうか。ねえ、やっぱりあなたにも見えているんでしょう?と友人に私は尋ねる。この新しい友人は、いい男なんだが、少し奇妙だ。毎回、白い服ばかり着ている。彼は、にこりと笑う。そしてこう言う。「大丈夫ですよ、カミルさん。ちょっと疲れているだけです。ゆっくり休んでください。」勧められた錠剤を言われたとおり飲み干す。どこからか幸せな気持ちが湧き上がり、うとうとし始める。今夜はゆっくり眠れそうだ。


*これはフィクションです。

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