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STANLEY

Author:STANLEY
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Basketball, Travel,
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Mexico,Panama,Paraguay,Argentina
Thailand,Taiwan,Japan,China,India
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山羊と

 さっきから一匹のヤギが執拗に後をつけてくる。白く短い毛肌に、黒の斑点模様が幾つか。決して綺麗とはいえない薄汚れた毛並み。よく見ると、足が不自由なようだ。右の前足を引きずるように歩いている。首には縄がついていて何だか苦しそうだ。めえめえ。
 さあ、どうしたんだ?ヤギ君。ご主人の下へお戻り。-めえめえ。ちっとも言うことを聞きやしない。私は、えっと・・・何をしていたんだろうか。そうだ、ラッシィー屋さんを探していた。この道の角に、おいしいラッシィー屋があるって聞いたんだ。急がなくちゃ。私は足を速めた。めえめえ。
 おかしな事に、いつもはあんなに混雑しているデリーに、今日は人気がない。太陽ばかりぎらぎらしていて目が回る。どうしたんだろう。今日は、祝日だろうか。ラッシィー屋さんは開いているかな。気持ちが悪いくらい、しいんと静まり返った道の真ん中で、私は不安になった。さっと突然、私の小さな体に影が落ちる。はて、どうしたものかと辺りを見回す。さっきのヤギが私を睨み付けていた。今度は、二足歩行して。
 「人間なんてものは、いつもこうやって偉そうに動物たちを見下しているが、やってみれば、なあに、たいした事ないじゃないか」。ヤギは右手をさすった。立ち上がったヤギは妙に大きく見え、私は怖くなった。ヤギは耳をぱたりぱたりとさせながら、周囲を見回す。「どうやら、私の番がきたようだ」。そうつぶやくヤギの遥か後ろから、男がこちらに走ってくる。ガタイの良い体を左右に揺らしながら、猛スピードでやってくる。右手に大きな牛刀を持って。ヤギは、男を見つめ悲しそうにこう言った。「行かなくちゃ」。

 ふと、気づくと私は、まだ芝生の上にいた。空は青々としており、観光客の話し声がうしろから聞こえる。なんだ、夢か。私はほっと一息ついた。アジア人観光客が二人、芝生に転がっている私を遠くで心配そうに見ていた。大きく深呼吸してみる。幾分か体調は回復したようだ。私は立ち上がり、フマユーン廟を後にした。


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